●映画の中のアニメ
一昔前ならば、アニメというと、子供のものというイメージがありました。それが大人が見ると、どこか「オタク」っぽい目で見られたものです。しかし、現在ではアニメ映画の地位は日本映画の中でもトップの地位を占めるようになり、さらには世界に発信されるようになりました。その功績は、宮崎 駿によるものが大きいとも言えます。
●映画音楽について
映画に使われる音楽は、名作であればあるほど、名曲がついています。ディズニーにしてもそうですし、E.Tのテーマ、スターウォーズのテーマにしても、誰もが知っているものでしょう。古典映画では、チャップリンの「ライムライト」なんかは、スタンダードな曲としてあらゆる名演奏家によって演奏されています。よい映画には必ずといっていいほど、心に残る音楽が使われているのです。
●宮崎アニメと音楽
映画音楽の宿命は、映像を壊さぬよう、あくまでもBGMに徹すること。しかしながら、ある一つのテーマにあったコンセプトの音楽を提供し、人の心に焼き付けなくてはいけません。ですから、必ず映画音楽には、その映画のテーマ音楽というものが存在します。宮崎アニメについても、同じことが言えるでしょう。その場面、その場面にあった音楽はもちろんのこと、映画にそったテーマ音楽が必ず存在します。宮崎アニメは、時には環境破壊を取り上げた深く、重いテーマもあれば、『となりのトトロ』のように、ほのぼのとした、それでいて快活なイメージのものもあります。そんな様々なテーマを提供する宮崎アニメにとって切り離せない音楽家は、「久石 譲」です。『風の谷のナウシカ』以来、宮崎アニメの音楽は全て「久石譲」の手によるものです。時には民族音楽をベースにし、無国籍的な音楽を作り出し(風の谷のナウシカ)、時には明るく明快な、それでいてどこか懐かしさの残る音楽を提供(となりのトトロ)、そして、雄大なオーケストラをベースに大樹をイメージする音楽も作り出します(天空の城ラピュタ)。それでいて、映像をメインとした映画の中で、常にテーマに沿った音楽を作り出します。この人の音楽ベースはなんなのだろう?と思ってしまうところが、この久石譲のすごさかもしれません。
●イメージアルバムかサウンドトラックか
宮崎アニメの音楽アルバムには、イメージアルバムとサウンドトラックアルバムが必ずと言っていいほど存在します。イメージアルバムは、文字通り、映画のイメージを久石 譲が汲み取り、それをイメージした音楽のことです。よって、その映画のテーマ音楽が聴くことができます。サウンドトラックは、映画に使われた音楽そのものが収録されています。ですので、映画を観た場合、この場面で使われていたなどといった聴き方ができます。音楽を主に聴きたい場合は、イメージアルバムがお勧めです。音楽性からいっても、非常に高いものになっています。サウンドトラックは、主がBGMなので、映像抜きにすると、物足りない曲も含まれています。
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