定価693,000円(税込)
写真取扱い
ムラウチ
DENONがプリメインアンプに対して新しい手法を取り入れてきた。
以前はまず最初にフラッグシップを開発、発売した後、その技術をエントリー機に徐々に採用していくものだった。しかし、今回は、まずPMA-SA11(定価37,8000円)という中堅機を開発、発売。そしてその機種を徹底的にブラッシュアップさせた機種をフラッグシップ機に持ってきた。
考えてみると、プリメインアンプはもはや成熟された技術の範囲にあり、AVアンプやCDのようにデジタルの世界での目新しさはない。とにかく、ゆえに、一つ一つの部品や回路、技術を熟成させ、作り上げていくことが、これからのプリメインアンプの開発に必要と思ったのだろうか。そう思えてくる。
例えば、電流増幅素子には、POA-S1以来熟成させ、PMA-SA11にも採用されているUHC-MOSを採用。
シングルプッシュプルによる大出力アンプという基本的な構成も変わりはしない。今回大きく謳っている点では、単体では耐圧が低く接合容量が大きいUHC-MOSの欠点を解決し、安定動作と変換特性の良さを引き出す“カスコードブートストラップ接続”ぐらいだろうか。
入力に対しバランス、アンバランス両方に対応するINVERTED Σ BALANCE
回路は、かつての名機PRA-200RG、POA-3000RGに採用されている。
PMA-SA11からみて重量が1kgしか重くなっていない(PMA-SA11は29kg、対しPMA-S1は30kg)ことからも、電源部もそう変わりはないと思われる。
しかし、2chの再生の特化したという思い切りのよさに加え、プリアウト/メインイン端子、トーンコントロール、ラウドネス、ミューティング、ヘッドホン端子は装備しないという徹底したシンプル化を追求している。
こうした姿勢は、ダイレクトに音に反映されてくる。奥行き、広がり、そしてなによりも安定(精神的には安心)した音。静寂から大音量までダイレクトに反応する。それでいて嫌味がない。
熟成された技術の上に立った、熟成された大人の音。そんな気がした。
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